童夢

アニメの「AKIRA」観たら、原作漫画の方も読みたくなりました。

AKIRA(1) (KCデラックス)

AKIRA(1) (KCデラックス)

とびとびにしか読んだことないんですよね。大判の単行本も何冊か持ってたんですが、以前引越ししたときに他の本と一緒に売ってしまいました。コレクション的な意味でも参考資料的な意味でも、持っていたい作品なんで買おうかなと思ってます。

大友作品では「童夢」は持ってます。これは引越し時の大粛清をまぬがれた数少ない本のひとつなんです。

童夢 (アクションコミックス)

童夢 (アクションコミックス)


去年の年末にNHKのBS漫画夜話の再放送がやってて、録画して観たんですが、「童夢」の回でした。ウィキペディアによると「童夢」はBS漫画夜話で最初にとりあげられた作品のようですが、ということは第一回放送の再放送だったのかな。90年代半ばなので、女性出演者のファッションが時代を感じさせたり、オタキングが太ってたり、なかなか味わい深かったです。
大友克洋の画力や漫画表現の斬新さが、当時の漫画読者に与えた衝撃について語られてて興味深かったです。例えば"人物以外の物体や建物にフキダシをつける手法"について、当時まったく新しい表現で衝撃をうけたと語られてたのがおもしろかったですね。どういうのかというと下図のようなものです。

これは、マンション屋上から人が飛び降りたときの描写なんですが、マンション全景を俯瞰したロングの構図に、フキダシで「どさっ」と書かれているんですが、こういう人物以外にフキダシをつける、つまり台詞を言わせる表現が斬新で読者に衝撃を与えたとか。

これも同じで、サイコキネシスで金属製の手すりが変形する描写なんですが、手すりにフキダシがついて「ガン」と言わせてます(これは描き文字ですが)。
正直のところ僕の感覚では、斬新だったと言われてもまったくピンとこないんですよね。「童夢」を初めて読んだのは中学生くらいだった気がしますが、そのときも違和感を感じた記憶はないです。つまり僕の世代では、すでにこういう"人物以外にフキダシをつける手法"が自然な漫画表現として浸透してたってことなんでしょうね。「童夢」とファーストコンタクトした世代と僕の世代はそれほどはなれてるわけじゃないので、新しい漫画表現が浸透する速度はかなり速いってことですかね。
まあ、大友克洋先生がすごかったのでパクられまくって、その結果浸透しまくったということなのかもしれないけど。パクられまくったといえば、夜話でも話題になってましたが、やはり下図の表現ですよね。

これはほんとにすごいわ。

やっぱり漫画史における記念碑的作品だと思います。