天地大乱
しかし今年の花粉症はきつい。ほとんど外出しない僕でもけっこうつらいんだから、学校いったり仕事いったりしないといけない人は今年は特に大変だろうなあ。
さて、TSUTAYAで借りてきたDVD、「キック・アス」だけ観たんですが、他のを観る前にこないだアマゾンで購入した「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地大乱」を観ました。これ19世紀末の中国を舞台に実在の英雄 黄飛鴻(ウォン・フェイフォン)を主人公にしたカンフーアクション映画シリーズの二作目なんですが、近所のTSUTAYAにはこの二作目の天地大乱が置いてないんですよね。シリーズ中最高傑作なのに。で、買おうかなと思ってアマゾンを物色してたら、ついこないだの二月末にブルーレイ版が発売されたばかりだったので、買ってしまいました。
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地大乱 [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
- 発売日: 2011/02/25
- メディア: Blu-ray
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リー・リンチェイとドニー・イェンの殺陣は始皇帝暗殺をテーマにした映画「英雄HERO」でもありました。あっちの殺陣もまた違ったよさがありましたね。
- 出版社/メーカー: レントラックジャパン
- 発売日: 2004/01/23
- メディア: DVD
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「天地大乱」の最大の魅力は、アクターの身体能力と香港映画のお家芸のワイヤーアクションに凝ったカット割り、はったりのきいた演出がおりなすカンフーアクションなんですが、ストーリー設定もおもしろいんですよね。
時代は清朝末期、過激な排外主義をかかげるカルト教団 白蓮教、清朝を倒し共和制国家を目指す革命家 孫文と盟友 陸。清朝の官吏、ラン提督。そして主人公の高名な医者であり武術家の黄飛鴻。こうならべてみるだけでかなり熱くておもしろい感じがすると思います。
ドニー・イェン演じるラン提督は、清朝の軍上層部の腐敗や、中国を食い物にする外国に対する反感みたいなものも内側にもちつつも、軍人として現場の指揮官として責任とプライドを持って任務にあたってるんだけど、最後はもうぶちきれて一人の武術家として黄飛鴻との死闘に身を投じるという、そういう屈折したところが薄っすらと表現されててとても魅力的なキャラです。
また、物語の後半、孫文の盟友 陸さんと黄飛鴻がカルト教団 白蓮教の本部に殴りこみに行くくだりがあるんですけど、うさんくさい神秘的迷信を信じきっている狂信者を目のあたりにして、革命家である陸さんが「こんな奴らばかりでは中国に夜明けがこない」みたいな感じで絶望しちゃうシーンがあるんですね。なかなか泣けるシーンなんですが、黄飛鴻はここで「うぉぉぉ!今、俺の中に風神が乗り移った!お前らいままでさんざん神の名を騙ってきたバチをあてるぞ!」みたいな演技をして、狂信者達の迷信深さを逆に利用して形勢を逆転させるんですよ。このあたりのくだりがおもしろいなあと思います。人間の理性を頼みに物事を考える理想主義者の革命家と、人間の愚かさを認めた上でとりあえずやっていこうとする現実主義者の対比みたいなね。深読みしすぎな気もしますが。
この後、白蓮教の親玉 クン大師が登場して黄飛鴻とのカンフーバトルになるんですが、その登場シーンもなかなかいいです。このシーンの舞台は白蓮教の本部の寺院みたいな屋内なんですが、天井付近の窓を頭からぶちわってクン大師が登場するんですよね。一歩間違ったらギャグ、というか間違わなくてもすでにギャグなんですが、こういう過剰さがこの映画の魅力でもあります。
このワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナは映画シリーズ以外にもテレビドラマシリーズもあり、また監督のツイ・ハークと主演のリー・リンチェイが大人の事情でいがみ合って決裂して、それぞれ独自に続編を作ったりと、いろいろ関連作品があるんですが、やっぱり天地大乱が一番よくできてんじゃないかなあ。でもまあなんか、そのうち機会があれば他の作品も観れる範囲で観てみようかなと思いました。