発勁

「イップマン」と「イップマン 序章」を観た後、いろいろネットで情報を見てたんですが、ウィキペディアによると葉問さんは日中戦争中に日本軍によって全財産を奪われ、戦後香港にわたって詠春拳道場が軌道にのったあとも、「日本人にだけは詠春拳は教えん」的なことを言ってたらしいですね。

イップ・マン 序章&葉問 Blu-rayツインパック

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それで思い出したんですが、僕が中学生のとき、友達が詠春拳のテキストをもってて型とかやってましたわ。まあ、ブルース・リーの拳法として有名になったからある意味世界的に流行ってたんでしょうけど、葉問派詠春拳には違いなく、葉問師父も草葉の陰でなげいておられたかもしれませんね。


ちなみに、その友達は武術全般にはまってまして、その一環としての詠春拳テキストだったんですが、それ以外にも太極拳も習っていたようです。太極拳はテキストではなくて、近くに太極拳教室みたいなのがあって、そこに習いにいってたようです。当時、その教室についての愚痴を聞かされたことを思い出しました。
「先生に発勁を教えてくれって言うても、はぐらかしてばっかりでぜんぜん教えてくれへんねや。」というような愚痴でした。発勁というのは、中国武術における力の出し方、攻撃や防御に使う力を出すための身体の運用方法みたいな意味のことばですかね、たぶん。わりと一般的なことから、それぞれの流派独特の秘伝みたいなものもあるんだと思います。
しかしながら、ここで僕の友達が言ってる発勁というのは、そういう正しい意味ではなくて、なんだろう、ドラゴンボールかめはめ波みたいに、離れた敵に"気"を飛ばして攻撃する方法のことなんです。なんでやねん、という話なんですが。
これは当時僕らの間で流行ってた夢枕獏先生の小説の影響なんですね。キマイラシリーズとか、闇狩師シリーズとか、怪しい仙術や武術を使う男たちや化け物が戦ったりなんかしたりする、いわゆる伝奇小説なんですけど、流行ってたわけです。

キマイラ〈6〉胎蔵変・金剛変

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で、夢枕先生の小説の中の"発勁"つったら、手の平から気を打ち出して離れた敵を攻撃する的な中国武術の奥儀だったんですよね。だから僕の友達は太極拳の先生にその"発勁"を教えてくれと言ったわけです。ある意味、厨二病のきわみなんですけど。まあ、太極拳の先生は困ったでしょうね。
なんか、ひさしぶりに思い出したらすごくいい話だなあ。