プレッパーズ

プロ野球のシーズン中はスカパーe2でプロ野球セットを契約(父親が観る)して、野球のオフシーズンには父親のテレビからB-casカードを引っこ抜いて僕が何か手頃な番組を契約して観る(野球は冬にやってないけどスカパー自体を解約するのは手間なんでもったいないから安い番組を契約する)、ということをやってます。去年はディスカバリーチャンネルを契約したんですが、今年は同じようなアメリカのドキュメンタリー系チャンネルのナショナルジオグラフィックチャンネルを契約してみました。プログラム的には似たような感じですね。ディスカバリーの方がミリタリー系の番組が多い気がするかな。
で、そのナショジオ(日本公式の略称らしくCMタイムに連呼される)で週末にやっている「プレッパーズ」という番組があるんですが、なかなかおもしろいです。プレッパー(prepper)とはprepareからきた言葉で、「備える人」くらいの意味のようです。何に備えるかというと、世界の終末なんです。
日本でも東日本大震災があったばかりですし、なんか災害があったときのために非常食や燃料を準備しておいたほうがいいかなというような意識は高まってるんじゃないかと思うんですが、プレッパーはそのスケールがはるかに大きい、たぶん常識的な感覚でいえば誇大妄想的な危機意識から、大災害、核戦争、経済崩壊、等による文明社会の崩壊を生き延びるために準備する人達です。
アメリカではけっこうな数のプレッパーがいるらしく、そういう人達を紹介するドキュメンタリー番組が「プレッパーズ」です。基本的には現在の文明によるライフラインがすべて喪失した後も生きていけるように、シェルター的な居住空間を用意し、食料を備蓄したり、自給自足できるシステムを構築したりということをするみたいです。
文明が喪失したら自然にあるものを利用してサバイバルしなくてはいけない!だから今からそのサバイバル生活をみがいておかなければならない!とばかりに、野生の動植物や自家栽培の野菜を食べてサバイバル的な生活をしているタイプのプレッパーも多いようで、なんだかそこには一種の倒錯があるような気もするんですが、楽しそうではありますね。まあ家族でやってたりするんで、つきあわされる子供はたまったもんじゃないような気もしますが。普段から昆虫を食べてる人達もいたりして、なるほど合理的かもしれんとは思うんですが、やはり見てるだけでも気持ち悪いですね。この家族の子供達は小さいころから食べ慣れてるから「コオロギうまー」ってな感じで普通に食ってます。よほど危機的な状況になっても個人的に昆虫食は無理だわー、と思いつつ見てたんですが、ふと僕も小学生のころアリをよく食ってたことを思い出しました。
もちろん食欲を満たすために食べていたわけではなくて、一種のパーフォーマンスとしてです。いや、大丈夫です。いじめられてたとこいうことではありません。要はお調子者だったんですね。「吉田がアリ食った!」みたいな友達の反応が楽しかったと思われ。まあアリといっても、一番小さいサイズのやつですけどね。一回だけちょっと大きいサイズのアリを食べてみたけど、まずかった(蟻酸の味でしょうか)。ただ、その後「吉田が団子虫食った!」という誇張された噂が広まり、ほのかな好意をいだいていた女子にも「団子虫食べるなんて…」とエイリアンをみるような目でみられ、幼くして人の噂というものの無責任さを身をもって知ったのでした。思えば、この種のお調子者精神が僕の描く漫画の根底に流れているような気がします。死にたい。
話が横道にそれましたが、プレッパーの特徴として生活空間や食料の確保以外に、それを防衛するなんらかの準備もするところがおもしろいです。どういうことかというと、自分達は生き残り、食料等も前々から準備してるわけですが、生き残ったはいいが準備していなかった人達もいると予想されるわけです。そういう愚民どもが野盗化して食料をもっている自分達を襲ってくるに違いないという想定ですね。

北斗の拳―完全版 (1) (BIG COMICS SPECIAL)

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そのために銃器を準備して、ある程度の戦闘訓練をしたりもするんですが、とあるサバイバル系プレッパーの家族では、子供達にトマホークによる戦闘術を訓練したりしてて、すげーなと思いました。

あと、とあるお爺ちゃんプレッパーが、「わしの生きてる間にはこの準備が役立つことは来ないかもしれないのぅ」と言ってて、それがちょっと残念そうだったのが興味深かったです。このお爺ちゃんは、廃棄された米軍の地下ミサイル基地跡にスクールバスを大量に埋めて巨大シェルターを作り食料を備蓄して、ノアの方舟のようにできるだけたくさんの人々を救いたいという妄想にとりつかれたお爺ちゃんなんで、まあ自分が死んでも他の人が使ってくれればいいやと思ってるようでしたが。
でも、他人はどうでもいいから自分だけ生き残るんじゃ!とプレップ活動を始めて、まわりの人達からキチガイあつかいされつつ、やがて「愚民ども、そのときが来たら吠え面かきやがれ!」的な発想になるプレッパーもいそうな気がします。というか、もし僕がプレッパーになったとしたら、「はやくカタストロフ来い!」ってなる気がします。「俺をキチガイ扱いした愚民どもよ!悔いなが飢えていくがいい!コオロギうまー!」的な。
なんだろう。カタストロフ後に生き残った人々がモヒカン軍団になって、強欲なプレッパーの要塞を攻めるみたいな漫画とかおもしろいんじゃなかろうか。どっちも悪な感じで。