単行本モデル

アフィリエイトをはじめてみました。なかなかお手軽に導入できました。まあ、最初なんで控えめにしたつもりなんですが、そのうちおいおい邪心をあらわにしていこうかと思っています。
さて、最近はインターネットの発展によっていろんな情報が得られるようになりまして、かつてはベールにつつまれていた漫画業界のおそるべき真実ももれ聞こえてきたりしまして、一応形式的には業界人の端くれである僕なんかも、「えっ!?漫画業界ってそうなってんの!?」というようなことをネット(主に2ちゃんねる)で、知ったりするんですが、そのような事実の一つ、「ほとんどの漫画雑誌は雑誌単体の収支は赤字で、その雑誌に掲載されている漫画の単行本の利益まであわせて、はじめて商売になる。」という事実は、最近では漫画に興味がある人にとっては常識となっているんではないでしょうか。
一説には漫画雑誌原価率200%だとか400%だとか、そういうめちゃくちゃな数字を聞いたこともあります。まあ、この数字自体の信憑性はわかりませんが、100%超えが多いのは確かなんでしょう。この場合の原価率というのは(雑誌一冊売るのにかかるコスト/雑誌の売価)ってことですね。雑誌をつくるためのコストは、

  • 雑誌の内容を作るコスト=(作家の原稿料、編集者、デザイナーの人件費)
  • 印刷にかかるコスト
  • 流通にかかるコスト

となりますが、このうち雑誌の内容を作るコストは雑誌の刷り部数にかかわらないので、刷れば刷るほど一冊あたりで考えたときの、内容をつくるコストは小さくなります。印刷コストも大量に刷れば小さくなりますかね。流通コストも、一冊あたりのコストで考えれば、増えるということはないでしょう。
というわけで、雑誌をいっぱい刷れば一冊あたりのコストは小さくなるわけです。が、しかし、それでハッピーになれるのは刷れば刷っただけ売れる場合だけであって、いくら大量に刷って原価率を下げても売れなければ仕方ないわけで、結局のところ一部の大量に売れる雑誌(週刊少年誌とかですかね?)だけは原価率が100%以下になって利益がでるけど、その他の雑誌は赤字となるわけです。原価率100%以上だと刷っただけ全部売れても赤字なわけですし、おもしろいのは普通の商売ならば、売れるだけ作るのが一番いいわけですが、原価率100%以上の雑誌の場合は、売れるだけ刷るのがはたしていいことなのかどうかわからないということですね。ちょっとだけ刷ってちょっとだけ売る方が、いっぱい刷っていっぱい売るよりも、損が少ないということもあるだろうし。
ていうか、いっぱい売った方が損するとか、漫画雑誌って何?って話になるんですが、結局のところ単行本を売るための広告ってことなんですよね。広告としては、できるだけいっぱい刷って流通させたいけど、いっぱいすると赤字が膨らむという。そのせめぎあいの中、雑誌の刷り部数が決定されるんじゃないでしょうか。これはまた、いっぱい売れてそうな雑誌が廃刊して、あんまり売れてなさそうな雑誌がつぶれない理由でもあるんでしょう。雑誌があんまり売れなくても、刷り部数が少ないので赤字は小さくて、その分単行本がそこそこ売れればやっていけるという。
あ、それからものすごく基本的なことを無視して書いて来ましたけど、原価率を100%以下にしたければ、雑誌の売価を上げるのが一番最初に考えるべきことですよね。しかし、漫画業界ではそういうある意味普通のことがあまりおこなわれてないわけですが、原価率が100%切るような値段設定だと高すぎて売れないって判断なんでしょうね。まあいままでは、雑誌で広告、単行本で回収というビジネスモデルがすごくうまくいってたからそれでよかったわけです。しかしながら、このビジネスモデルも最近の単行本の売り上げの低下によって、破綻するのではないかと言われてたりするとか、しないとか。おそろしいことです。
と、長々と書いてきましたが、何が言いたいかといいますと、

我らがネメシスは、

  • 刷り部数が少ない
  • 値段設定が高い

という、赤字を小さく抑えるしぶとい雑誌なので(形式上は書籍ですが)、意外と打たれ強いんではないでしょうか、ということです。