マイレージ、マイライフ

こないだTSUTAYAで借りてきた「マイレージ、マイライフ」を観ました。

マイレージ、マイライフ Blu-ray

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タイトルからどういう映画か想像しにくく、マイレージって飛行機にのるとついてくるおまけポイントみたいなアレかな?しかし、そんなの映画になるの?と思ってたら、そのマイレージでした。まあ、原題は「Up in the Air」なんですけどね。内容からすると、原題の方がいいと思いますけど。
ジョージ・クルーニー演じる孤独な男を通して、人間のつながりというか絆というか、そういうモノをやんわり描く映画って感じですかね。おもしろかったです。しぶい映画。
ジョージ・クルーニーは、企業が従業員をやめさせたいときに、その企業にかわって従業員に首を通告するという仕事をしてます。解雇通告というめんどくさい仕事のアウトソーシングです。主人公が解雇されたことでドラマが始まるってのはよくある気がしますが、解雇する側が主人公ってのはめずらしいかもしれません。不況続きで解雇も多く失業率も高い社会状況を反映したテーマなんですかね。
解雇通告の仕事のために、ジョージ・クルーニーは年間300日以上出張してて、飛行機でアメリカ中をとびまわっているわけです。そして、そんな生活ゆえに飛行機のマイレージがたまりまくってて、マイルを一千万マイルためて表彰されるのが、ちょっとした目標になってる人です。この飛行機のくだりはジョージ・クルーニーの孤独さの象徴だろうなと思います。他人の人間(肉親含む)とは一定の距離を置き、面倒はさける。そういう生き方が、飛行機で飛び回る、根無し草的な感じで象徴されてんのかなと。後、マイレージという数字を集めることが目標である空しさとかね。そう考えると、人を解雇するという仕事も、人との深い関係を避けて、ある意味人間関係を切り捨ててきた生き方を象徴してるのかもしれません。
まあ、そういう主人公があれやこれやする映画なんですが、ストーリーとは別に僕がおもしろかったのは、映画の中で描写されるマイレージ関係の描写ですね。というのは、僕の友達にもマイルをためるこにすごく執着してる人間がいるんですよ。その友達が言ってたようなことが映画の中で出てきて笑ってしまいました。例えば、ヒルトンホテルのフロントにいっぱい人が並んでるところを、ジョージ・クルーニーが列に並ばず横から順番とばしてチェックインするシーンがあって、並んでたおばはんが「この人、割り込みよ!みんな並んでるのに!」って怒るんですが、ホテルのフロント係が「高級会員の方は常に優先されますので」みたいに答えるわけです。あ〜、僕の友達も言ってたなと。詳しいことはわからんけど、飛行機のマイレージとか高級ビジネスホテルの会員制とか関連があると思うんですけど、こういうのってある種の身分制度になっとるわけで、"愚民どもを尻目に特権を享受する快感"ってのがあるらしいですね。
映画の中のジョージ・クルーニーは一応仕事で飛行機乗ってるんですけど、僕の友達なんかマイルためるためか使うためか知らないけど、東京から大阪に行くのにわざわざシカゴ経由して行ったとか自慢しとるしね。まるでビックリマンチョコを買って即チョコを捨てる小学生みたいだなと思いますけど、世の中意外にそういう倒錯した趣味の人が多いらしいです。おそろしいことです。
その友達は、なんでも年間に飛行機を利用したマイルがかなり多かったらしくて、航空会社の偉いひとから挨拶されたとかなんとか自慢してたことがありました。映画の中でも、ジョージ・クルーニーが一千万マイルを達成して、機長から挨拶されるという念願を達成するシーンがあります。まあ、映画ではこのシーンはジョージ・クルーニーの孤独をうきぼりにするシーンなんですけどね。