ペン

あー、時間が欲しい。一日が48時間あればいいのに。読まずに積んだままになった漫画、本、買ったはいいがやれないゲームがたまってゆきます。もっと映画も観たい。
と、いいつつもあんまりがんばりすぎたら体こわすから、ペースをまもってゆっくり仕事してます。てへっ。
漫画家といえば、一昔前は(今もか?)タイトなスケジュールで徹夜で原稿を上げるというイメージがありますが、僕は無理だわ。毎日コツコツと計画的に描いていくタイプです。実際、そういう漫画家さんの方が多いと思うんですよ。ネタとしておもしろくないから語られないだけで。
と言う感じでコツコツ(だらだら)とやってようやくネメシスNo4用の「漆黒のノイエゼーレ」#5のペン入れが終わりました。

こんな感じ。後はPCに取り込んで、ベタと仕上げすれば完成です。
次回からは下描きからPC上での作画に挑戦しようと思ってるので、一応今回の原稿が最後のアナログでのペン入れということになります。できれば、二度とアナログのペン入れはしたくないなあ。だってほら、またアナログのペン入れするってことは何かトラブルがあったってことじゃないですか。意気揚々とデジタル作画に挑戦したら、液晶タブレットcintiqちゃんが突然お亡くなりになったとか。想像したくない。
アナログペン入れを卒業するにあたって思うのは、Gペン丸ペンで十年ほど、原稿の枚数にすれば2000ページくらいは描いてる思うんですけど、やっぱりペンは苦手だなあ、ということですね。ずっと、自分の描き方は何か間違っている、という感じがしてたというか。どないやねん、という話ですが。
最近は動画サイトなんかに、自分の作画風景をアップしてる作家さんも多いので、他人のペンさばきを見ることができる機会が増えたんですけど、やっぱり違うなあという気がします。
なんかね、どうしても間に合わせなければいけない締め切りが迫っていて、そのためには普段の二倍の速度でペン入れしなければならない。背後からは「原稿落としたら埋めるど、糞がっ」とヤクザみたいな編集者が脅してくる。そんな状況においつめられたら、秘められた潜在能力が覚醒して、ペン入れの真髄を会得できるような気もするんですけど、ついぞそういう状況に出会うことはありませんでした。
だいたい、漫画製作の手順ももしかしたら変態的かもしれません。下描きまでは普通だと思うんですが(下図左)、その後Gペンでペン入れする部分を全部まとめてペン入れ(下図真ん中)、さらに丸ペンでペン入れする部分をペン入れ(下図右)。そしてベタ仕上げ。

Gペン部分だけペン入れするという、やり方がなんかおかしい。おかしいけど、効率とかいろいろ考えるとこうなっちゃうんですよね。まあ、ヤクザみたいな編集者が「丸ペンなんぞ使わんで、全部Gペンで描けや、埋めるど、糞がっ」と言ってくれれば、もしかしたら変わったかもしれないんですが、ついぞそのような編集さんは現れませんでした。
そもそも漫画をペンとインクで描くというのは、印刷技術のクオリティが低かった時代のなごりなんですよね。今は、もっといろんな画材で描けるはずで、実際描いてる人もいるわけで、結局僕にとってそれはPCということになるんでしょうね。なるといいな。