第一段階

とりあえずネームの初稿ができました。ふう。一番きついとこは終わったといえ、まだこれからなんですけどね。

これはまだ自分にしか読めない状態です。この状態で推敲しつつ、担当編集さんが読める状態に清書します。それで編集さんの意見を聞いて修正して、OKがでたらネーム完成となります。

Writing is Rewriting

昔読んだハリウッドの脚本術についての本にでてた金言です。"Writing is Rewriting"、直訳すると「書くこととは書き直すことである」みたいな。つまり、何回も推敲して書き直さなければ、いい作品は書けないってことですかね。たしかに、肝に銘じたい言葉です。
というわけで、漫画のネームも推敲を繰り返して、おもしろくしていくべきなんですよね。まあ現実的には、時間的制約もあるので、ある程度の妥協も必要ですが。
一方で、「結局、最初のネームが一番おもしろかった」的な台詞も業界ではよく聞かれる気がします。いろいろ考えていじくった結果どんどんネームがおもしろくなくなってしまい、結局最初のバージョンが一番勢いがあってよかったじゃん!ってなるという。なんか、デビュー前の新人さんとか、こういうことをよく言われてそうな気がする。ええ、ただの想像ですが。
書き直すのがいいのか最初の勢い重視がいいのか、どっちやねん、という話ですね。


それはともかく、書き直すということに関して、漫画にはちょっと特殊な事情がある気がします。比較対象として小説や映画を考えますと、冗長な部分を切り詰めて全体の尺を短くしたいという場合、小説にしろ映画にしろ、単純に当該部分を削除するだけでOKなんじゃないかと思うんですよ。*1
漫画の場合は、もうちょっとややこしいことになるんですよね。それは漫画がページ単位で構成されているからです。例えばクライマックスで見開きの一枚絵を使って派手な演出をしてるとします。と、するとその部分は偶数ページの最初に位置しないといけないわけです。で、もし最初の方に冗長なシーンがあって、それをカットするとしますと、削除されるのがちょうど2ページ分なら問題ないんですが、そうじゃない場合は不都合が生じるわけです。例えば1ページ分削除したとすると、削除した部分以降のページは奇数、偶数がずれてしまい、クライマックスシーンを見開きに配置することが不可能になってしまうんですね。これは困った。
1ページまるまる削除というようなケースはまだ単純だといえます。1コマ、2コマ単位のカットとなると、それ以降のページすべてにわたって書き直す必要がでてきたりするわけです。10Pを9Pに短縮するために、10Pのうちの数コマをカットしたり合併したりして、9ページ分全部コマを割りなおすことになったりするわけです。
この、切り詰めるのがめんどくさい、というのは漫画独特の事情ではないかなと思います。
逆に伸ばすのは、切り詰めるのに比べると楽ですかね。個人的な得手不得手もあるかもしれないですけど。


結局何がいいたいかというと、今回のネーム、若干長めになっちゃったけど、短縮せずにOKでたらいいな、ささやかな願いでした。

*1:もっとも、僕は小説書いたこともないし、映画の編集もしたことないので、もしかしたら思いもよらない不都合があるのかもしれない。