宇宙の法則が乱れる!

やっぱりにわかアニオタとしては、今日は「魔法少女まどか☆マギカ」について語らずにはおられますまい。

震災でラストの3話(関西では2話)が放送中止になってたのが、昨日一気に放送されました。人気の高い作品なので、放送前からネットでは祭り状態になってましたね。なんでも一部脚本流出?のネタバレもあったとかなかったとか。
この作品、途中からSF的な様相も帯びてきて、ラストでもめちゃくちゃスケールがでっかいことになってるんですが、SF的なというか、物語のギミックを楽しむという観点からすると、ラストの展開はちょっと不満ものこりますかね。少女達が地球外生物のキュウベェと契約して魔法少女になる代償として、願いごとをひとつかなえられる、というのが物語の中心にある仕掛けなんですが、ここの願いごとをかなえるということについての詳細が語られてないので、ちょっともにょっとするとこがあるのかな。例えばかなえられる願いごとにどういう限界があるんだ?とかそういうことがね。
アラジンと魔法ランプ的な、特殊な存在が願いをかなえてくれるというのはいろんなお話にでてくる定番な仕掛けなんだけど、なにも制限がないと「おまえの願いを3っつかなえてやろう」「じゃあ、その願いを100個にふやして!」的なギャグになってしまうので、やっぱり願いごとにどういう制約があるのかが語られないといけないんじゃないかな。おとぎばなし的なものならともかく、SF的なお話なら特に。
ちなみに、願い事をかなえるギミックを取り入れたホラー短編小説で「猿の手」という有名な作品がありますが、「猿の手」では願いはかなうんだけど、それが願い手の予想を裏切った不幸につながってしまうという話なんですね。このあたりのニュアンスは「まどか☆マギカ」にも共通する部分がありましたね。てか、願いの代償として必然的に穢れが蓄積されていくというのが中心的な設定なので、まさに「猿の手」的なダークな物語ともいえるか。
横道それましたが、願いごとをかなえることに対する限界が見えないので、ラストでヒロインが願い事によってすべての不幸を解消しようと望むところで、その願いの必然性というか説得力にちょっと疑問を感じてしまうところがあるって感じかなあ。それこそ「その願いを100個にふやして!www」的なトンチでもありなんじゃね?と思ってしまうというか、感動的ラストにもっていくためにご都合主義的にヒロインの願いの内容がきめられてるんじゃね?というか。
とまあ、文句から先に言ってみました。ただこれはSFとして設定に注目してこざかしく観たらってことなんで、素直に観たらとてもおもしろかったですよ。最初からラストまで、毎回次回が気になるし、毎回何かおどろかされるような展開のある傑作だったんじゃないでしょうか。てか、ネットでの盛り上がり方をみると、ここ最近での最大の話題作ですしね。
メロドラマ的な、というか登場人物達の感情の物語りとして観ると、ラストもとてもいいです。なんというかヒロインが自分の存在をかけて、人類の歴史におけるすべての魔法少女を救済し、すべての穢れを一身に引き受けるという自己犠牲の物語というか、ほとんど宗教的色彩を帯びた物語になってます。僕はこういうのけっこう好きなんで、最後の方はうるうるしながら観てましたわ。
ごちそうさまでした。