英国王のスピーチ

夏に出る単行本の台割りもほぼ確定して、表紙やおまけページのネタもおおむねきまったので、作業に突入する前に一息ついて映画観にいこうかなと思って「英国王のスピーチ」を観てきました。うちの近所のシネコンでやってる映画の中で一番観たかったのがこの作品だったので。平日の午後8時40分からのラストの回で、80席くらいのところに僕を含めて3人の観客でした。よくはいってるほうかな。

英国王のスピーチ コレクターズ・エディション [Blu-ray]

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この作品は、アカデミー賞の作品賞はじめいくつか受賞してたのでタイトルは知ってたんですが、内容の方はどうも実際の史実をもとにした史劇ぽい映画だということしか知らなかったので、新鮮な気持ちで観れました。主人公は英国王ジョージ6世。時代背景は第二次世界大戦の直前という感じで、ドラマチックなんですが、お話の主軸は重度の吃音症に悩むジョージ6世と、ちょっとうさんくさいもぐりの言語聴覚師のおっさんの友情の物語とでもいいましょうか、ちょっと地味な感じでおもしろいです。
家に帰ってきてからウィキペディアで調べてみたんですが、ジョージ6世は第二次世界大戦中にドイツに空襲されてわやくちゃになってるイギリスにおいて、逃げずにロンドンに留まり、ラジオ放送なんかで国民をはげましつづけ、まさに国民の心の支えと慕われた人気の王様らしいので、その辺、歴史にくわしければいっそう楽しめるんだろうなと思いました。もちろんくわしくなくても楽しめましたけど。
クライマックスは吃音症を克服したジョージ6世が、対ドイツ宣戦布告に際してのラジオ演説を力強くするシーンで、まあまあ感動的なシーンなんですけど、やっぱり悪の枢軸国の子孫としては若干なんというか微妙な気持ちも感じましたね。アレか、これが戦後の自虐教育の成果なんですかね?
しかしこの映画でもヒトラーが演説してるフィルムを観て、ジョージ6世が「言ってることはよくわからんが、とにかくすごい自信だ」的なことを言ってるシーンがあるんですけど、なんか欧米人にとって演説の影響力というのは強んだろうなという印象があるんですよね。翻って日本について考えてみると、あんまり演説とか重視されない気がしますよね。政治家でもなんでも日本人による名演説ってあんまり思い浮かばないわ。
あとね、この映画はイギリスの映画なんですけど、随所にちりばめられたユーモアの感覚がちょっとひねててイギリスぽいなあと思いました。まあ、ほんとにイギリスぽいのかどうかはわかりませんけど、ちょっとイギリスぽいと言ってみたかっただけです、すみません。
とてもおもしろかったです。観にいってよかった。