WAR GAME

ウォー・ゲーム」という映画をみました。天才少年ハッカーが米軍のスーパーコンピューターに侵入して、米ソの全面核戦争を引き起こしそうになる、往年の名作映画ではありません。わりと新しいB級ぽい映画です。

ウォー・ゲーム [DVD]

ウォー・ゲーム [DVD]

近所のツタヤでDVDをレンタルするときは、4本で千円うち二本は新作も可!というプランでレンタルしてるので、なるべく二本は新作を借りて少しでも元は取った感を味わおうと心がけているんですが、今回は新作にあまり借りたいのがなかったのです。まあしかし、普段は大作や話題作を追いかけるのがやっとで、なかなかマイナーぽい映画を観れないので、観たい新作の無いこの機会に、ぜんぜん聞いたこともないような新作を観ようと思って借りたのが、この「ウォーゲーム」なのです。パッケージのドイツ製アサルトライフルG36を構えるお姉ちゃんがかっこよかったのが決め手です。ちなみに、本編にはな、なんと、G36を構えるお姉ちゃんは出てきませんッ!
一応、これ読んでこの映画を観ようと思う人はいないと思いますけど、以下ネタバレしてます。
ストーリーはなんちゅうか、「十三日の金曜日」のアレンジみたいな感じですかね?男女混合グループがキャッキャウフフしてるところを変なのに襲われるという感じです。湖畔のキャンプ場に行くかわりに山奥の廃墟でサバゲーをして、ジェイソンに襲われるかわりに廃墟に隠れ住んでいるサイコな脱獄囚軍団に射殺されます。まあ軍団ていうか三人しかいませんけどね。後、男女グループでサバゲーしてるのは何か新鮮です。
この映画で力がはいってるのは、やはり残虐描写でしょうか。普通に銃器で撃ち殺される以外に、地雷で足がふっとんでそのまま失血死とか、背中をナタで滅多切りにされるとか、腕を天井からつるされた状態でノドを切り裂かれるとか、胸にツルハシを打ち込まれるとか、バリエーション豊富でがんばってる感じがしました。
シナリオ的にはけっこうアレっと思うとこもありましたね。そもそも男女がサバゲーグループであるという設定はあまり生きてないんですよね。サバゲーオタらしく、生半可な軍事知識でもって反撃をこころみるとか、そういうのないですし。グループの中の武器オタぽい一人が仲間に自慢したくて実銃(ベレッタM92)を持ってきていて、それが若干役に立つくらいですかね。
後、最終的にはヒロインが敵の親方を倒して、敵三人全員が倒されるんですが、敵グループが全部で三人で、親方を倒したことで全滅させた、ということを知っているのは視聴者だけであって、話の展開からしてヒロインは知らないはずなんですよね。でも、やりきった〜!みたいな感じで放心状態になっとるし。どうみても敵を倒しきったことを認識してるという。まあ、そういうアラはあるなと思いました。
ただ、莫大な制作費をかけて作りこまれた大作だとそうはならんだろうという意外な展開があったりしておもしろいです。敵に拉致された妹を助けるために、ヒロインが一人で敵のアジトに侵入するシーンがありまして、妹が金具で腕を拘束されて天井から吊るされてるのを発見します。ヒロインは妹の腕の金具をはずそうとするんですが素手では難しく、そうこうするうちに敵がアジトに戻ってきます。自分が侵入したことがバレないように妹につけられていた猿轡を再びかまして、もとどうりに妹の頭に麻袋をかぶせて、ヒロインは物陰にひそみ様子を伺うわけです。
まあ普通は、ここは後で妹を助けて自分も助かるための伏線になるような情報を得るとかあるのかなあと思ってみてたら、吊るされた妹がさっくりノドをナイフで裂かれて死んじゃった。いやまあ、リアルといえばリアルですよ。リアルは映画みたいに都合よくいかねぇんだよッ!というメッセージでもこもってんのかと思いましたよ。ヒロインであるお姉ちゃんも妹が殺されても自重して隠れ通すしね。
その後妹を殺されてイヤボーン状態になったヒロインがちょっとした策を用いて敵の親方を倒します。倒した後は、前述したように敵を全滅させたことを知る術はないはずなのに、やりきった放心状態で山道をふらふら下りはじめます。途中で仲間の死体を発見しても、もはや驚く余裕もない放心状態。この辺り、けっこういいなあと思いながら観てたんですよ。怒涛の修羅場の後、無感動状態になってる感じがいいなあと。
まあ、普通の大作映画ならここで終わりでもいいんでしょうけど、やっぱり低予算B級映画の場合はそれではいかんのよ、と言わんばかりのラストが待ち構えてました。
事件の初期の方でパニックになって、みんなの制止を聞かずに逃げ出したあげく、敵の埋設した対人地雷を踏んで片足がふっとび、その後味方にも敵にも放置されて失血死したやさ男がいるんですが、ヒロインがそいつの死体を発見するわけです。男の死体のかたわらに立ち無感動に見つめるヒロイン。しかし一瞬後に心に電流がはしる。たしかコイツって地雷で死んだんじゃなかったけ?もしかして地雷って一発じゃなくて、ここら辺地雷原じゃねの?ビクッとなって一歩後ずさるヒロイン。足元でカチッという音が。おそらく圧力がかかることで起動して、次に圧力がなくなることで爆発するタイプの地雷なんですかね。
やっちまった〜!というヒロインの顔のカメラ目線の大アップ。そしてエンドロールへ。うん、この終わり方は大作映画ではありえないな。まさにB級映画の醍醐味かもしれない。ニコニコ動画なら「こっち見んなwwww」というコメントが乱舞するはずだ。たしか「マスターキートン」でこういう地雷を踏んでしまった後に、圧力を開放しないように靴を脱いでガムテープで地雷をぐるぐる巻きにして難を逃れるというエピソードがあった気がします。きっとこのヒロインもそうやって難を逃れたに違いない。