R.P.G.

RPG」という映画を観ました。前回の日記で書いた「ウォー・ゲーム」と一緒にツタヤで借りてきた作品です。これも新作で、マイナーB級ぽいものという基準で借りたものです。タイトルはソ連製のロケット砲のことではなくて、ロールプレイングゲームの略の方のRPGのようです。原題は「Wild Hunt」というのですが、「RPG」という邦題で少しわかりやすくなってるかな。でも、タイトルからもパッケージからもどんな映画かまったく予想できないところに惹かれて選択しました。

RPG [DVD]

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さて。この映画はカナダの山奥にある娯楽施設が主な舞台となります。その施設は、ファンタジーRPGにでてくる世界を再現したテーマパークみたいな感じなっていて、その中でいい歳した大人が戦士やら騎士やら王様やら王女やらヴァイキングやらエルフやら邪悪なるケルトのシャーマンやらの気合の入ったコスプレをして、自分の扮しているファンタジー世界的なキャラクターになりきって生活したり抗争したりするという施設なのです。味気ないリアル生活かれ逃れ、ひとときの癒しを求める、少年の心を忘れない紳士の社交場ってところでしょうか。まあ淑女もいっぱいいますけどね。
このRPGランドでは、スポーツチャンバラ的な感じで相手に怪我をさせないような安全な剣で戦ったりしてます。またRPGだけに魔法もあったりします。もちろん本物の魔法があるわけないので、魔法があるという体でみんなが演技するという、まさに子供のごっこ遊びです。この人は今、姿が消える魔法を使ってるから効果時間中はこの人の姿は見えてないので見ちゃダメよ!みたいな。大の大人がごっこ遊びをするんですから、客観的には寒々しい光景ですし、実際寒く痛く表現されてます。そしてこの痛さがストーリー上、重要な要素になります。
まあ、テーブルトークRPGをさらにエクストリーム化したようなものですかね。よくわからんけど、こういう施設って現実にあるのかな、カナダには。パッケージの裏の説明にはあるともとれるようなことが書いてあったんですけど。まあいいか。
あ、たぶんこれを読んでこの映画を観ようと思う人はいないと思いますけど、以下ネタバレしてます。
主人公はわりと常識人の男。主人公のお兄ちゃんがいい歳こいたダメ人間で、山奥のRPGランドにいりびたってるんですね。同居している兄弟の父親が認知症ぎみで介護が必要なのに、それを弟に押し付けて家を飛び出して山奥でヴァイキング王になっとるわけです。
そして主人公には彼女がいるんですが、これがわがままなメンヘラ気味の女で、認知症の父親が同居する主人公との生活に嫌気がさしていて、主人公の兄の紹介で、これまたRPGランドにいりびたっとるわけです。こっちはワルキューレにして王女で、邪悪なるケルトのシャーマンに拉致されて生贄にされようとしているという設定なんだけど、そういう風にみんなから重要視されてちやほやされるのが、たまらなく楽しいんですね、たぶん。基本的に尻軽なところもあって、拉致されてる設定なのにシャーマンの親玉といまにもちちくりあいそうな雰囲気ですし。
いい歳して中二病をこじらせて、トールの雷よ!とか、ラグナロクだ!とか言ってる兄貴と、RPGランドにいりびたってる彼女にうんざりしている常識人の弟なんですが、こいつも性格的に弱いところがあって、つらい現実を生きていくための心のよりどころとして彼女がどうしても必要なところがあるんですね。馬鹿な女と思いつつ、あきらめきれない的な。
で、そんなときに主人公はRPGランドの常連からちょっとした噂を聞きます。RPGランドではロールプレイの延長として乱交とかあたりまえにやってるぜ、うえへへっ。みたいな。ちょうど彼女は兄貴達とRPGランドにでかけたばかり。もう心配でたまらない。主人公は彼女を連れ戻すためにRPGランドにのりこむのでした。
ただ彼女自身はRPGランドではお姫様でいられるので気に入ってるわけで、しかも主人公が彼女のことを思ってるほどには、彼女は主人公のことを思ってないんですね。だから主人公がやってきても、超うぜぇーみたいな感じになちゃっうわけです。さらに、同好の士が集まってリアルを忘れて楽しんでいるところにずかずかとリアルを持ち込んでくる主人公は、RPGランドの住人の反感を買い嫌がらせされます。とうてい彼女を連れ戻せる雰囲気じゃないわけです。
そこで出番なのが主人公の兄です。兄ちゃんはダメ人間だけど、RPGランドではひとかどの顔役なんですね。まあ、ネットゲームで人生捨てた廃人プレイヤーがゲーム内ではみんなに尊敬されて、ますますゲームにのめりこんでますます廃人になっていくようなもんでしょうか。この兄ちゃんのRPGランドでの生き生きとした描写はけっこう痛々しくて僕は好きです。ヴァイキングの戦士はけっして逃げない!とか言って無駄に威勢がよかったりね。
で、兄ちゃんは社会不適合者かもしれないけど、性格的には明るくてとても弟思いなんですね。そういうわけで彼女を連れ戻したい弟の手助けをするんです。兄ちゃん曰く、郷に入っては郷に従え、RPGランドではRPGランドの中のルールにのっとって彼女をとりもどせ、と。すなわち、弟もヴァイキングのコスプレをしてヴァイキングの戦士になりきって、邪悪なるケルトのシャーマンに捕らえられた姫君を奪い返せばいいじゃない!お兄ちゃんここじゃヴァイキングの王だからさ、最大限の助力するよ!みたいな。
ダメ人間のお兄ちゃんを心底軽蔑していた主人公だったんですけど、彼女を取り返すためにはそれしかないと思い、お兄ちゃんの提案を呑みます。最初はいやいやヴァイキングのコスプレして、お兄ちゃんに無理やりヴァイキングの誓いの言葉とか言わされてた主人公ですが、だんだんとやる気になってきて、ついにはノリノリで姫(=彼女)の救出に出向くのでした。


なんかね。ここまで書いた内容説明を自分で読み返してみると、けっこうおもしろそうなコメディ映画のように思えますね…。実はコレぜんぜんコメディではないんですけどね。
ちょっと長くなったので続きは次回に。