スパイダーとマン

9月のまだ残暑がちょっときびしかったころなんですが、僕の部屋に一匹の蜘蛛が巣を張りました。仕事道具や資料を座ってる椅子から手に取りやすいようにと、部屋の真ん中にスチールパイプのラックを置いてるんですが、ふと気付くと、そのラックの上辺と蛍光灯のカサとの間に立派な蜘蛛の巣ができていたのでした。すぐ排除しようかなと思ったんですが、ちょっとかわいそうだしおもしろそうなのでそのままにしました。蜘蛛の大きさも5mmぐらいで、かわいらしかったんでね。

部屋の窓には網戸がはいってます。でもサッシと網戸の隙間からどうしても小さな羽虫が蛍光灯の光に誘われてはいってくるんですよ。田舎ですしね。しかし、その蛍光灯の下には待ち受ける蜘蛛の巣が。羽虫一巻の終わり!まことにいい立地に巣を張ったもんだなと。

観察してると、普段は巣の真ん中で待機してるんですが、羽虫が巣にかかると異様にクイックに突撃して、虫をからめとります。そして何か前足をつかってごちゃごちゃとするんですが、糸でぐるぐるまきにしたり、なんか毒液的なものを注入してるんでしょうか。そこまでは小さすぎてわかりませんが。とにかく、虫がかかってダッシュでつかまえるまで1秒もかからないですね。そのクイックさがきもい!

そんで毎日同じ蜘蛛の巣をみてて気付いたんですが、蜘蛛の巣ってけっこうすぐに劣化するんですね。獲物がかかってあばれたりなんかしても痛むし、何もかからなくても時間が経つとボロボロになるみたいです。そして、蜘蛛は一日に1,2回のペースで巣のメンテナンスをするようです。「巣がボロボロになってるなあ〜」と思った後、しばらく仕事してて、ふとみたらピカピカの新品の巣になっててびっくりします。たまたまメンテナンス中にでくわしたときにじっくり観察してみたんですが、ほんとに器用に巣をつくるもんですね。まあ器用という表現は適切じゃないのかもしれないけど。知性とは何か?蜘蛛が幾何学的に美しい巣を正確に作れるのは知性と呼べるのか?大学のときにたまたま受講した哲学の講義でそういう話を聞いたのを思い出しました。

ただ、最近めっきりすずしくなってきて、今後は窓も網戸にせずに閉め切るようになると、蜘蛛の餌になる羽虫がはいってこなくなるんじゃないかと心配なんですよ。さすがに蜘蛛のために寒いのに窓をあけはなしとくわけにもいかんしねえ。こいつはこの先生きのこれるんだろうかと。まあ、最初のときからくらべてこの2,3週間で獲物をたらふく食って、1.5倍くらいに大きくなって、きもくなってきたので外に捨ててこようかしら。

あと、蛍光灯の点燈するための紐を巣を支える足場のひとつにしてるので、僕が蛍光灯をつけたり消したりするとき紐をひっぱると、「やべぇ!」って感じで巣の中央から巣の端っこまで逃げるのがちょっとかわいいです。