積み本消化

しかしPC壊れてみていかにPCに依存してるのかに気づきました。漫画もここ数年は全工程PC使ってたわけですし。
そんなわけでPC修理中はまったく生活パターンがかわってしまったんですが、せっかくなんでこの機会に本でも読もうかなと、何年も前に買って、積んだままになってた小説を読んでました。

パイの物語(上) (竹書房文庫)

パイの物語(上) (竹書房文庫)

パイの物語(下) (竹書房文庫)

パイの物語(下) (竹書房文庫)

アン・リー監督の映画「ライフ・オブ・パイ」の原作小説。映画はずいぶん前に劇場でみました。今回、原作小説読んでから映画もレンタルして見返してみました。原作を読んでみると、映画の脚本がけっこうはしょった内容であることに気づきます。まあ、文字メディアから映像メディアの違いというものがあるので、どうしてもそういうふうになるんだろうなとは思います。原作小説での複数のキャラのエピソードを、映画ではキャラ数を絞って一人のキャラのエピソードに統合したりとか、そういうところは圧縮のテクニックとして、なるほどなあと思いました。ちょっと、うんざりしたのは原作にはまったくないロマンスの要素がたされてるとこですかね。それも、まったくとってつけたように。この辺やはり、大勢の人間がかかわってくる映画制作における大人の事情的なものがあるんだろうなあと思いました。
映画見たときは、けっこう寓話的というか、隠された真意みたいなのがあるんだろうなあと思ったんですが、小説を読んでみてそのあたりはわかったような気がしました。というか、映画版が脚本がはしょられててちょっと説明不足のわりに、映像が幻想的で美しいので、よけいになんか深い意味があるんじゃねえかと思ってしまうんですよね。そこまで隠された寓意はないんだなと思いました。意味のわからんもんを見て、勝手に深い意味があると思ってしまう、地獄の黙示録現象とでもいうものにはまってしまっていたようです。




虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

2015年に劇場アニメ化するらしいので、その前に読まにゃあと、思い消化。いや、これは噂にたがわぬ傑作ですね。ほんと読みながら鳥肌がたつくらい面白く、なんというか感銘をうけました。
しかし、映像化してこのおもしろさが表現できるのかな?とは、すこし思いました。映像として見栄えのするシーンはたくさんあると思うんですけど、おもしろさの本質部分は思考というかロジックの部分だと思うんで、映像メディアには向かないんじゃないかなあとか思ったんですよね。
まあ、その辺りも含めてアニメを楽しみに待ちたいと思います。


なぜかたまたま虐殺器官と似たようなテイストがある作品。これもおもしろくて一気に読んでしまいました。
この作品、人類史上繰り返される組織的な虐殺をテーマにすえているので、その例として関東大震災における朝鮮人虐殺や、日中戦争時の南京事件について、ちょろっとだけ触れられてるんですけど、そのせいで一部の人々から反日小説とされてるらしく、読後にアマゾンのレビューみてみると、たしかにその種のレビューがけっこうありました。
なんというか、この小説、読み方によると、人類って愚劣だよね!というメッセージを強く主張してるように思うんですが(もちろんエンターテイメントなので、救いというか希望は用意されているけど)、そのメッセージを補強してる現象だなあと思いました。



怪我の功名というか、PC壊れたおかげで、おもしろい本が読めてよかったです。