ネパールの修行者

昨日のニュースでアメリカで懲役刑になってた日本赤軍の人が日本に送還されて逮捕されたというのがやってました。日本赤軍の城崎容疑者を逮捕 ダッカ事件で釈放 警視庁:朝日新聞デジタル
日本赤軍や関連事件についてはほぼ何も知らないんですが、ニュースを聞いていると、この城崎という人は国際指名手配されたあと、ネパールで潜伏していたところを逮捕されてアメリカで懲役刑をうけていたとのこと。これを聞いて思い出したことがあります。



もう20年以上前になりますが、北インドを貧乏旅行してたときのことです。カルカッタ(今は現地発音に忠実にコルカタと表記するんですかね)のサダルストリートというバックパッカーが集まる一角にあるドミトリー式の安ホテルに泊まってました。ドミトリー式というのは一室いくらではなくて、一ベッドいくらで宿泊する相部屋スタイルでして、当時のレートで一泊150円くらいでした。日本人旅行者がよく利用するホテルで、そのときも6畳くらいの部屋にぎりぎり一人寝れるくらいのベッドというかただの台が5つくらい置かれた部屋で、4,5人の日本人旅行者と相部屋してました。
そこでだらだらしてたとき、暇だったので持ってた地球の歩き方をパラパラみてたんですね。インド出身の有名人という豆知識コーナーがあって、ガンジーとかタゴールとかとならんで、ジッドゥ・クリシュナムルティという人が紹介されてまして、宗教関係の人らしいのですが、この人を知らなかった僕は、同じようにだらだらしていた同室の日本人旅行者に、ジッドゥ・クリシュナムルティって知ってます?と尋ねたのでした。その方は、仮にAさんとしますが、それほどよくは知らないけど、最近ある人からクリシュナムルティの話を聞いたことがある。と、話をしはじめたのでした。
Aさんは、インド旅行の途中でネパールにいってきたらしいのですが(北インド旅行中にいったんネパールにいくというルートはけっこう人気だったように思う)、そこで一人の日本人と出会ったというのです。その日本人はあきらかにバックパッカーと違い、かといって定住者というにも妙な雰囲気だったので、興味を持っていろいろ話をしたらしく、クリシュナムルティも人その人に教えてもらったらしいのです。
そのネパールの日本人がいうには、自分はとある理由で日本にいられなくなり、ブラックリストにのってるのでアメリカにも入国できないので、ネパールで隠遁している。ここでクリシュナムルティを知って、その思想に感銘をうけて、もっとよく理解したいと思い日々瞑想の生活をしている。と、いうことらしく、「最近やっとクリシュナムルティの言うところの"時間"の意味がわかってきた」などと言っていたらしいです。
まあなんとも素っ頓狂な話なんで、Aさんと僕はげらげら笑ったのですが、ブラックリストに載ってる云々の下りで、左翼過激派的なイメージを連想しまして、革命に挫折して追われる身になった過激派活動家がネパールで宗教に目覚めて瞑想三昧の日々を送っているという図を勝手に想像して、なんというか、詩情?を感じて、強く印象に残りました。



まあ、そういう話を思い出したんですが、城崎容疑者がネパールのカトマンズで確保されたのが1996年ということなので、時期的には上記の話に出てきたネパールの修行者が城崎容疑者でも矛盾はしないなあと思ったのでした。それだけ。

時間の終焉―J.クリシュナムルティ&デヴィッド・ボーム対話集

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